聞こえない声を聴く
療養型病院
あたたかみのある色調で整えられて空間
清潔で明るい雰囲気
にこやかな看護師さんたち
その中のカーテンで仕切られたスペースに
叔母はいた
ベッドの上で、鼻から栄養を入れながら、
テレビを見つめていた
外の景色は見ることができない
私たちが来たことがわかると
起き上がろうとしてくれた
1年ぶりの再会
私たちが話すことは伝わっていて
叔母もあふれるように何かを伝えようとしてくれていて
だけど、声にならない
口の形からも読み取ることができなかった
叔母の伝えようとする一所懸命な姿に
わかったふりをしてトンチンカンな言葉を返すことはためらわれた
何度となく繰り返したが,,,
詫びる私
一瞬寂しそうな表情からすぐに達観したような顔になった叔母
「ありがとう」
それだけは聴き取れた
5感覚を解き放ち
全身全霊で叔母をキャッチしたいと思った